飾りのいわれ

伊豆稲取に江戸時代から伝わる風習で、桃の節句に端布で作ったぬいぐるみを竹ひごの輪から赤いひもで雛段の両脇につるして、娘の無病息災を祈る飾りです。
普段の生活の中で、神仏にお祈りするときに手を合わせるのと違い、願う事柄が具体的な形となって飾られるところに特徴があり他所では見られない固有の雛の飾りです。
幸いにも、先人たちが思いを紡ぎ、縫い続けてくださった稲取の宝物を受け継ぐことができた私達は、これを後世に伝承していかなければなりません。このことが、つるし飾りがただの手芸ではなく、伝承文化財たるゆえんなのです。
別名桃飾りとも呼ばれる飾りには、それぞれの言い伝えや意味があります。ひとつひとつの意味を考えながら思いを込めて縫っていきましょう。豪華なものよりも心を込めた温かみのあるつるしになると良いのではないでしょうか。
以下に代表的なものを記してみました。

 


邪気、悪霊を退治し、延命長寿も意味する。実が女性を象徴し、女の子の厄払いとも言われる。桃太郎は桃から生まれたからこそ鬼退治をしたとされる。
葉付きもも、三つ桃

葉付きもも、三つ桃

さる
厄がさる、難がさるのかけことば

さる

さる

三角
うろこ模様でヘビや辰、竜などを表す。厄払いの霊力があり、紫と白の布で富士山を模したものもある、薬袋にも用いられた。
三角

三角

ほおずき
女性のお守りとされる。婦人病の薬効もあり、かんの虫封じにも効果あり。
ほおずき

ほおずき

てるてる
布で作った人形(ひとがた)の原点
てるてる

てるてる

ふくろう
呪力がある。福ろう。不苦労。
ふくろう

ふくろう

とうがらし
虫よけの効能がある。娘に悪い虫がつかぬよう。
とうがらし

とうがらし

はまぐり
二枚貝は貞節の象徴
はまぐり

はまぐり

南天
難を転じて福となすの意
南天

南天

きんちゃく
お金に不自由しないよう
お手玉巾着

お手玉巾着

六ひょうたん
無病息災にかけて。六つ付けることが肝心。
六つひょうたん

六つひょうたん

まめ
まめまめしく息災を願う
まめ

まめ


柿が赤くなれば医者が青くなる、の諺より
うさぎ
赤い目のうさぎは神様のお使い。人々の願いを神様にとどけてくれる
太鼓
つづみなどと、おめでたいもの
ぞうり
早くあんよができますように。這えば立て、立てば歩めの親心

花のような美しい娘に・・・
俵ねずみ
大黒様のお使い。金運をもたらす。霊力があるとされる。子供もたくさん産んでまめな働きものに。俵は五穀豊穣の意。
はと
神のお使いと言われる。
鳩はむせないと言われ、お乳をのむ赤ちゃんもむせることのないように。
にわとり
早起きは三文の得。早起きしてまめに働けるように。
這い子
這えば立て、立てば歩めの親心。子のすこやかな成長を願う。
三番叟
祝い事につきもの。 稲取では子供三番叟を奉納する。
七宝まり
お宝づくしのひとつ。おめでたい文様からなるまり。
柏餅
柏の葉は子孫をつなぐ象徴
おかたごろ
女の子の遊び、着せ替え人形ごっこ。お方は高貴な人の呼称。晴れ着の装いの人をお方という。
金目鯛
稲取名産の縁起物。おめでたには欠かせない。
かめ
長寿の象徴。かめは万年。
福良すずめ
五穀豊穣を表し食に恵まれますように。晴れ着の帯結びは福良雀。日本髪型(結髪)の一つ脹雀(ふくらすずめ)。
末広
次第に栄え、多幸を表わす。
隠れみの
宝づくしの縁起物。身に着けると姿を隠すことができ、思い通りのことができる。
だるま
七転び八起で福を招く。縁起物、赤いダルマは呪物
座布団
早くおすわりが出来ますように。
みかん
稲取の名産。ビタミンをとって風邪予防

寝る子は育つの言い伝え

長寿の象徴。鶴は千年

清純の象徴でつぼみは固く節操の正しさを表す。梅の種は繁殖力が強く梅干しは健康食